新年の抱負を速攻リニューアル!? ワクワクできる目標と計画の立て方とは?

新年の抱負を速攻リニューアル!? ワクワクできる目標と計画の立て方とは?
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あなたは、新年の抱負は立てましたか? 昨年はどんな抱負を立てたか、覚えていますか? 

ある調査によれば、新年の抱負を達成できた人は19%、できなかった人は37%、そして覚えていない人が42%でした(2021年bondavi調査)。


抱負とは、目標達成のために心のなかに持つ決意のこと。多くの人は、目標と行動計画をセットで、年のはじめに宣言しているわけです。


そう考えれば、とても大事な宣言なのに、忘れてしまうのはなぜか? 確実に実行する方法は何か? サイボウズチームワーク総研の森岡貴和さん、コラボスタイルコーポレートグループの嶋谷清次が、新年の抱負について対談し、その本質に迫りました!


もしかしたら、今年立てたばかりの抱負、いますぐリニューアルしたほうがよいかも!?



新年の抱負は何のために立てる?

◯昔から、新年に抱負を立てる人は多いと思います。そもそも、やることを宣言して目標を立てる意味とは、どこにありますか?


森岡:モチベーションを高く維持するためには、「理想」が必要だと言われています。飲み会やストレス発散で盛り上げるのもよいですが、本当のモチベーションはじわじわと維持されるもの。「こうなりたい」「こうありたい」と心から思えるイメージがないと、人はワクワクして生きられないのです。


個人的な理想へ向かって、新年に目標と、そのための抱負を立てるのはよいことだと思います。必ずしも1年にいちど、年始に行うという決まりはなく、3カ月や半年ごと、誕生月でも好きな季節でもよいのですが、わかりやすいタイミングですよね。

理想の内容も、仕事でもプライベートでも構いません。また、「売上を〇〇円上げる」「結婚する」といった定量的な目標でも、「△△さんのようなリーダーシップを身につける」「趣味の□□で上達する」など定性的なものでもよいでしょう。


嶋谷:私も同意見です。目標と抱負は、理想を実現する具体的なマイルストーンの役割を果たします。

新年に抱負を立てることで、すでに理想までのプロセスを何段階かのステップにわけて、言語化しているわけです。現実と照らして、自分がどの位置にいるか、次に何をしたらよいか、といったことを理解することもできるでしょう。

新年は良い区切りで、何月くらいに何をする、というイメージを持ちやすいですね。



森岡:サイボウズでは、期初に全社員が目標設定を行います。12月決算のため、新年の抱負に近いですね。

また、自分の理想や目標設定を考える時に「理想マップ」というフレームワークを考えるようにしています。会社の中にはたくさんの理想があって、それが横軸(期間)と縦軸(影響範囲)とでマッピングされる構造になっています。
ただ、そのマップを全部埋めるのは大変なのでそれをするのではなく、「長期的な全社の目標」と「短期的な自分の目標」とがつながっていることを意識して目標を設定する、というアプローチを推奨しているという感じです。


◯おおっ、これならば理想と目標がより具体的にイメージできそうです。個人がプライベートな目標も含めて、新年の抱負を立てるときにも使えますか?


森岡:社内業務の目標設定としても、会社業務に直接には関係ないキャリアの目標も使えると思いますよ。

会社から求めらていること、社員として自分にできること、業務としては少し離れるかもしれけど実現したい個人の理想、この3つがうまく重なるところが目標になるといいですよね。

 

◯会社の仕事と個人を切り離すのではなく、一部を共有して同じ方向に向かうということですね。

嶋谷:当社でも、会社の目標設定シートに、個人的なキャリアやプライベートの目標もどんどん入れてもらっていますね。「家族で旅行する」とか入れる人もいますが、それも仕事のモチベーションアップになるので、会社としてはプラスなんです。



抱負を立てて満足していないか?


◯理想を描いて抱負を立てるのは、楽しいものですよね。ただ、立てただけで満足して、具体的な行動は起こせない…。年末に抱負を忘れる人には、そんなパターンが多いように思います。それでも新年の抱負を立てる意味はありますか?


森岡:「目標を立てる→行動する→振り返る」というサイクルを一定期間行うことが大切です。
もちろん、目標は覚えておいた方がよいかもしれませんが…でも、それも人それぞれだと思っています。

年始に立てた抱負を忘れていても、年末に一年を振り返って、できたこと、できなかったことを考えたりはしませんか? 「こんな自分になりたい」という理想は持っている証拠です。
目指しているものがあれば、それでよいのです。


嶋谷:結果的に目標達成できなかったとしても、振り返って、「このあたりまでは来た」というのがわかればよいと思いますよ。その結果、毎年同じ抱負を立てることになっても、構わないのではないでしょうか。


森岡:実は私自身は、新年に立てた目標がうまく機能した、という記憶はあまりありません。必要性に迫られないとやらないタイプなんです。ちょっとお恥ずかしいですが。。(笑)


◯だいぶ気が楽になってきました。抱負は確実に実行するべきタスク、と考えなくてもよいのですね。


森岡:はい。いちばん大切なのは、自分が本当にやりたいと思っていることを目標にすること。自分にできそうな抱負を語るだけでは、たとえ目標達成したとしても、モチベーションは上がりません。
やりたいこと、ありたい姿に向かって、成長しようと思える目標や豊富を設定することが重要なんです。



 

失敗しない新年の抱負3カ条


①目標の高さを自分に合わせる

◯そうはいっても、実行できない抱負を毎年立てるのがつらい、という人もいるでしょう。うまく新年の抱負を機能させるコツがあれば教えてください。


嶋谷:現状から理想に向かって、積み重ねるのステップが目標です。理想までの距離は同じでも、その間の段数は人によって違います。

届くか届かないかの高さまでジャンプするか、少しずつ小さな階段を少しずつ上るか。もし、毎年目標を達成できず、抱負も実行できずに困っている人は、一段が高すぎるのかもしれません。

人は小さな階段でもクリアすればうれしいもの。特にコツコツとした作業が得意な方は、モチベーションを持続させられるおすすめの方法です。


②対話する

嶋谷:自分に合った目標の高さを、自分ひとりで考えるのは、実は簡単ではありません。客観的に判断できる人に、見てもらうことをおすすめします。会社なら上司や同僚、社外なら友人や家族と対話する中で、自分にとってほどよい高さが見えてくるはずです。

③書き出して見えるところに置く

森岡:サイボウズの青野社長が社長就任当時、「真剣」という文字を自分の机の目の前のホワイトボードに貼って、いつも見ていたという話を聞いたことがあります。
3年ほどかかって「もう見なくても大丈夫」と確信できたので貼り紙は外したそうですが、強く理想や抱負を心に刻むのはそれくらいの時間がかかるものなのかもしれませんね。

だからこそ、可視化しておくことが重要。人によるでしょうが、強い理想がある方には、おすすめの方法です。


新年の抱負リニューアルのすゝめ

さすが、人材マネジメントの専門家だけあって、「新年の抱負」というテーマひとつで、対談は大いに盛り上がりました。お2人が共通して最重要視しているのが、「自分の本当の意思に従って、遠くの理想を描く」こと。

理想を持ってワクワク生きていられれば、抱負を完璧に実行できていなくても、忘れてしまっても、大体のことはOKなんです。

と、いっても何も意識せずに、「遠くの理想を描く」のは、ちょっと難しいと思いませんか?

1年にいちど、目標と抱負を考えるという行為自体が、理想の輪郭を明らかにし、意識することに役立っているはずです。毎年立てている人は、ぜひ続けてください。


それに、現在の自分が、本当に進みたい方向に向かっているか、確認する上でも理想の認識は有効です。
森岡さんは、ご自身の経験を次のように振り返ります。


「サイボウズが企業として成長し、社内の自分の仕事がだんだん少なくなってきたときには、明確に目標を立てました。働き方を大きく変えないと、自分のバリューが出せない、と考えて社外に出て複業を始めました。時間はかかりましたが、今は理想に向かってワクワクしながら、納得の行く仕事ができています。」

森岡さんは、理想を再認識→目標を立てる→環境を見直す、という行動をとりました。
しかし、これは誰にでもできることではありません。

そもそも理想を確認する機会がなければ、現状に疑問を持つことなく、つまり自分の思う方向へ進んでいるかもわからず、漫然と時間を過ごしてしまう可能性が、あるのではないでしょうか?


そこで新提案!

  1. ワクワクできる遠くの理想を描く
  2. 現実の環境を分析する
  3. 理想と現実のベクトルを確認する

の3点を押さえて、新年の抱負を立て直しましょう!

 



 

大事なのは、現在地と理想の位置関係を確認すること。これで、正しい方向に進んでいるかがわかりますし、そうでなければ環境を見直すこともできます。


もちろん、会社の仕事、個人のキャリア、プライベート、趣味や学び、テーマは何でもOK。年のはじめのうちに心機一転、いえ、本当に生まれ変わった自分に出会えるかもしれません。


◯プロフィール

森岡貴和さん
サイボウズチームワーク総研 コンサルタント

名古屋大学法学部卒業後、旧住友銀行に入行。
その後、ITベンチャー企業を経て、2005年「離職率28%」であったサイボウズに人事マネージャーとして入社。経営陣による風土・組織の大改革をサポートした。営業マネージャーに転向後も、「自由闊達で風通しがよく、それでいて高い成果が出せる組織」を創る活動に全力を注ぐ。
多くの失敗を糧に、先進的な営業バックオフィスチームを創り上げるなど、着実な成功を積み上げた。

 2023年から現職。マネージャー経験や複業経験を活かし、シニア活用やチームマネジメントといったテーマを探求。講演や研修を通じ、自らの経験を交え、お客様支援に携わる。

50歳を過ぎ、社内外で「複業宣言」を発信。自分自身のキャリアNEXTについて、そしてチームと自分自身との関係や、関わり方の変遷について日々考え、実践している。


◯プロフィール

嶋谷清次
株式会社コラボスタイル コーポレートグループマネージャー

印刷会社でデザイナーとしてキャリアをスタートし、SI企業へ転職後は業務システム受託開発のPMとして上流工程およびマネジメントを担当。
そこで現代表の松本と出会い、創業1期目のコラボスタイルにジョイン。
営業・制作を経て、人事・総務・財務等の管理業務を担当した後、2020年より現職にてバックオフィスを統括
会社の急成長にあわせてバックオフィスのDX化・ペーパーレス化を推進。

「ワークスタイルの未来を切り拓く」という企業理念をかかげ、自分たちのワークスタイルもバージョンアップし続けるコラボスタイルにおいて、新しい仕組み作り・制度作りを支える。

小越建典
記事を書いた人
小越建典

課題解決クリエイター 広告代理店の営業マンを経て、2007年にライターに転身。書籍や雑誌、Webメディアの企画・執筆を担当。2014年ごろからはオウンドメディアの企画・運用に携わり、販売促進や広報・PR、ブランディングなど、コンテンツで企業の課題を解決する提案を得意とする。 メディア執筆、書籍の実績も多数。近著に「4コマで日本史(山川出版社)」。自社にてニュースレター「ソルバ!イノベDB」を運営。