勝負キャリア「二社目」を充実させる4L!「自由へのワークシート」
20代も後半に差し掛かると、仕事に余裕ができて、人生、キャリアを考えるタイミングがやってきます。今の会社の居心地が良いほど、「本当にこれでいいのか?」と、漠然とした疑問がふくらんでくるもの。
二社目への転職を考えている人、すでに移籍してがんばっている人、立場は違えど悩み多きお年頃です。
そんな二社目のキャリアは「変数が大きく難しい」と語るのは、ポジウィルキャリアの川口遼さん。同社は「キャリアに特化したパーソナルトレーニング」というユニークなサービスを提供し、初めての転職=二社目のキャリア構築も多数サポートしています。成功した人、つまずいた人、よく知っている川口さんに、二社目の過ごし方を聞きました。
一社目と二社目の違いとは?
●現代では、ほとんどの人が一度は転職を経験すると思います。一社目と二社目では、どのように環境が変わるのでしょうか?
一社目、特に社会経験の浅い20代前半は、がむしゃらに働いて仕事を覚える、という方が多いのではないでしょうか。ある程度、失敗しても許される立場で、早いうちならやり直しも効きやすい。
しかし、一社目で数年しっかりキャリアを積んだ後の二社目、と考えると事情は大きく代わります。
二社目は「その後のキャリアを決定づける」と言っても過言ではありません。
と、いうのも30代には、転職するにも、社内にいても、専門性が求められるからです。年齢を重ねるごとに、未経験での転職がどんどん難しくなるのが実情です。
二社目で専門性を身につけて、しっかり実績を残さなければ、その先が厳しくなります。失敗するとダメージが大きいのです。
反対に、一社目で目立った活躍をしていなくても、二社目で飛躍した人が、うまくキャリアを積み上げていくケースもあります。
●転職を検討している人も、二社目でがんばっている人にも大いに参考になりますね。一社目で身につけた専門的なスキルを、二社目でさらに伸ばすことが重要なのでしょうか。
いえ、そうとも限らないのです。転職には大きく2パターンあります。
ひとつは、おっしゃるとおりスキルや経験を活かせる同業種や同職種にスライドするパターン。もうひとつは、まったく未経験の仕事にチャレンジするパターンです。
後者は専門性を活かすことが難しいのは、おわかりいただけると思います。実は前者も、専門スキルが最重要ではないのです。
私たちは「名詞」より「動詞」を基準にしてください、とお伝えしています。
●!? 先ほど二社目は専門性が重要だとお聞きしたばかりで…。名詞と動詞とはどういうことですか?
名詞は「営業」「エンジニア」「英検5級」「課長」などの、職種やポジション、資格などです。前職で「営業課長」を勤めていた、といえばデキる人に見えます。しかし、実際何をしていたか、というのはわかりませんよね。
「動詞」は、「とにかくたくさん行動する」「業務の効率化を工夫する」「アイデアを考える」といった強みを指します。業種が職種が変わっても活かすことができる「ポータブルスキル」です。
◯後者の方が、人物像が見えてきますね。
そうなんです。
これから転職する方は、特に二社目は求められる「動詞」が、自分が培ってきたスキルと合う会社を選ぶべきです。
例えば、たくさん電話をかけたり、顧客とじっくり対話するなど、圧倒的な行動量で活躍してきた営業さんが、次の職場で緻密に効率を求められたら、順応するのが難しいと思いませんか?
●同じ「営業」でも、全然違う仕事のように感じるかもしれませんね。
はい。転職時には、自分の強みを「動詞」で理解して表現し、企業のカルチャーとのマッチングを考えることが、とても大切なんです。
例えば、当社でトレーニングを受けたSさん(男性)は、ルート営業から外資系のITコンサルに転職して、二社目で活躍しています。
彼は「新規の営業よりも元々あるものをより良くしていく」ことに自分の強みを見出し、コンサルタントやカスタマーサクセスなど、お客様との関係性を築ける職種を探していました。
「動詞」の合ったIT系のコンサルティング会社に転職。その後も充実したキャリアを送っています。
反対に、一社目でバリバリ活躍して、自信満々で入った二社目で挫折する、というケースは少なくありません。
カルチャーが合わない転職をして、せっかく培った「動詞」のキャリアをムダにしてしまっているのです。
そうなりたくないと、無理やり一社目のやり方に固執すると、余計に組織になじめなくなります。
当然、30代以降で大事な専門性も、実績も、積み重ねられません。二社目への転職の失敗はこのケースが、本当に多いです。
一社目にいるうちから、「動詞」のスキルを理解しておくこと。
そして二社目に入社したら、いったん一社目の成功体験を忘れて、その会社のやり方を学ぶこと。
新卒ではないので「何でも教えてくれ」という態度ではいけませんが、自分の行動が会社に合っているか、確認することはできます。自分の強みを生かしたうえで、新しいやり方にアジャストしていけばよいのです。アンラーニング(既存の仕事の方法論をいったん棄却し、 新しいスタイルを取り入れること)の姿勢が重要です。
キャリアは仕事だけじゃなく「4L」で考える
●20代後半になると、家庭を持ちパートナーとの関係性を考えたり、女性は特に出産を強く意識するようにもなります。仕事だけがんばっていればよい、というわけには行かなくなる人が多いですよね。
転職を検討している人にはもちろんですが、二社目でがんばっている人も、「4L理論」(サニー・ハンセン)を意識していただくとよいと思います。4Lとは、Labor(仕事、働き方、お金)、Love(家族、パートナー、友人)、Learning(勉強、自己投資)、Leisure(遊び、余暇、趣味)のこと。
4つの要素を組み合わせて、人生を設計するという考え方です。
20代前半は、4Lのなかでも、Laborが多くを占めている人が多いですが、徐々に家族へのLoveやLeisureに、お金や時間を使う余裕が、大きくなってくるわけです。もちろん、今後のキャリアを考える上でも、会社の枠組みを出て、自らLearnigすることも重要でしょう。
4Lのバランスは人それぞれで、「均等ならよい」というものではありません。仕事だけ、余暇だけ、突き抜けている人もいます。自分がありたい4Lのイメージを理解して、職場や働き方を選択するべきです。
●4Lとはまさに、「自分らしさ」ですね。
そのとおりです。
外資系コンサルティング会社に勤務していたYさん(女性)は、30歳手前で結婚し、その後出産。育児中に当社のトレーニングを受けました。我が子は愛おしいものの、同時に「自分のために時間が使えていない」との思いも抱えていました。
しかし、ご本人も「ワクワクした」という、当社の4Lの設計ワークを経て、
「仲間を大切に、自分に正直に、ポジティブで心躍る日々を過ごす」という人生の目標を見出しました。「お金のために働いていた」という前職を退職し、フィットネス講師を目指しています。
これは、家族との時間を大切にしながら、「ママになっても自分の人生を生きる」という決断でもあります。
二社目を有意義に過ごせる「自由へのワークシート」
自分の得意なことを「動詞」(ポータブルスキル)で理解し、環境に順応すること。
自分の4Lをできるだけ具体的にイメージして働き方を選択することが、二社目で実績を残して、良いキャリアを積み上げる秘訣だとわかりました。
とにかく突っ走ってきた20代とは違った意識で、戦略的、主体的にキャリアを考えるよいきっかけ。
二社目は、選び方、過ごし方次第で、キャリアの落とし穴にもジャンプ台にもなります。人生の選択肢を広げる、自由へのトビラと考えてはいかがでしょうか。
そこで、ワタシゴトでは二社目での活躍、一社目からの転職選びに役立つ、自由へのワークシートを作成。ポジウィルキャリアが実際に使用しているシートも参考に、理想の4Lを叶えるためのステップです。
ありたい4Lをまず定義し、そこから逆算して、仕事に必要な業務スキル(名詞)、ポータブルスキル(動詞)を導きます。さらに、そのための行動リストまでさかのぼる、というプロセスです。
変化が激しく先行きが不透明な時代では、4LのなかでもLearning(学習)が重要と考え、行動リストにはスキルを習得し、また人生を充実させるための学習を主軸にしました。
時間のあるとき、このシートを使って思考を整理するだけでも、少しモヤモヤが晴れて先が見通せるようになるはずです。ぜひご活用いただき、人生をトータルで考えて、自分らしい二社目ライフを送ってください!
●監修/取材協力
川口 遼(かわぐち りょう)さん
ポジウィル株式会社 カウンセラーチーム マネージャー
大学卒業後、IT系人材業界での法人営業職を経てポジウィルへ。
お客様のキャリア相談窓口である「カウンセラー」チームを率いるリーダー。
さまざまな悩みを抱えて訪れる相談者に日々向き合い、支援を行っている。
国家資格キャリアコンサルタント。
ポジウィルキャリア
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